Mistral AIはチャットボット「Le Chat」を「Vibe」に改名し、メール処理・レポート作成・コード生成までこなす業務エージェントとして再定位した。Google WorkspaceやSlack、GitHubなどと連携し、ChatGPT・Gemini・Claudeの各エージェント版と直接競合する。
Mistral AIは「Le Chat」を「Vibe」に改名し、メール対応・レポート作成・プルリクエストまでのコード出力を担うワークツールとして再定位した。既存の会話履歴や設定はそのまま引き継がれる。
Vibeの目玉はWork Modeだ。Google Workspace、Outlook、SharePoint、Slack、GitHubと連携し、受信トレイのスキャンや表計算からのデータ取得などのタスクを実行する。エージェントがタスクを開始する前に実行計画を提示し、ユーザーの承認を待つ仕組みになっている。各ステップは展開して確認でき、タスクは日次・週次・月次で繰り返し設定することも可能だ。
Code Modeも搭載されている。
Vibeは4つの料金プランで提供される。Freeプランは無料で利用できる。
各プランの実際の上限はわかりにくい。Mistralは数値を公開しているが、いずれも無料プランの倍率として示すに留まっている。メッセージ数は最大6倍、画像生成数は最大40倍といった具合だが、無料プランの実数が明かされていないため、6倍という数字も実態が不明のままだ。「限定的」という表現に代わって15GBのストレージが明示されるなど、具体的な数値が示される項目はごく一部に限られる。
「複雑なタスク」と「深い推論(in-depth reasoning)」といった用語の境界線も曖昧だ。技術的な背景としては、Mistral Medium 3.5が`reasoning_effort`パラメータを通じて高速モードと精密モードを切り替えられる仕様がある。Mistral Studioには無料の実験プランも用意されている。
なお、「Vibe」という名称はリブランド前から存在していた。改名前は有料機能として提供されていたMistralのコーディングツールの名称だった。
Vibeはchat.mistral.aiで利用可能で、App StoreおよびGoogle Playのアプリとしても提供される。コードインターフェースはcode.mistral.aiで利用できる。
再ローンチというよりも統合に近い
過去1年間でLe ChatはDeep Research、音声モード、画像編集、MCP(Model Context Protocol)統合、メモリ機能を順次追加してきた。Work ModeとクラウドベースのコーディングエージェントはMay初旬に続いて導入された。Vibeはこれらすべてをひとつのブランドにまとめたもので、MistralをChatGPT・Gemini・Claudeの各エージェント版とより直接的に競合する位置へと引き上げる。
並列サンドボックスエージェントを用いたコーディング構成は独自のものではない。OpenAIにはCodex、AnthropicにはブラウザベースのClaude Code、Cursorはバージョンスリーでエージェントフリートをフルにさばくことができる。混乱に拍車をかけるのは、Vibeという名称がかつてMistralのコーディングアシスタント「Vibe 2.0」を指していたことだ。今やその名は全体をカバーするブランドとなった。
