Google CloudとGoogle DeepMindが共同開発したAI姿勢推定システムが、ミラノ・コルティナ2026冬季オリンピックの米国代表チームに提供されました。2次元動画から63の関節位置を3次元モデル化し、スノーボードやフリースキーの複雑な空中技のメカニズムを分析します。
Google Cloudは4月11日(現地時間)、フリースキーやスノーボード選手の複雑な空中技を3次元で解析するAIシステムをGoogle DeepMindと共同で開発し、ミラノ・コルティナ2026冬季オリンピックの米国代表チームに提供したと発表しました。リハビリの現場や工場で人間の姿勢を検知するシステムへの応用も見込まれています。
フリースキーやスノーボード競技では、映像を通じて「何が起きたか」は確認できても、「なぜその技がうまくいったか」を説明することは困難でした。技が成功するまでの選手の関節の角度や回転速度、体のかがめ方などを解析する必要があるためです。
同システムの中核となるのは、AI姿勢推定モデルです。単一の2次元動画から、63の関節位置をプロットした3次元モデルを生成します。選手はかさばる装備を身に着けた状態で高速回転したり体をかがめたりするため、手足が動画に映らないこともあります。同システムでは、各フレームを個別処理するのではなく、学習済みの事前情報と身体全体の軌跡データを使って隠れた関節位置を推測する仕組みを採用し、高速回転中でも安定した骨格データの維持を実現しました。
インフラ面では、GoogleのAI向け半導体「TPU」(Tensor Processing Unit)を推論エンジンの基盤に採用しています。競技期間中はTPUを起動した状態で待機させ、コールドスタートによる遅延を排除しました。また、Google CloudのAIプラットフォーム「Vertex AI」を使い、需要に応じて計算資源を動的に割り当て、複数選手の動画を並列処理しています。米国代表チームの機密データを保護するため、推論エンジンへのアクセスを仮想プライベートクラウドのプライベートエンドポイント経由に限定しました。
Google Cloudは、極寒の屋外環境で高速走行と遮蔽が絶え間なく発生するウィンタースポーツ映像という難しい条件下で姿勢推定を実現した同システムは汎用性が高いと述べています。今後想定される応用分野として、動作フォームを分析して改善を支援する対話型AIリハビリコーチや、工場労働者の姿勢変化を検知して作動するロボット支援システムなどを挙げています。
